コンゴ民主共和国の結核問題

今年から大学院生に加わったAndreさんの発表。これまで携わった結核問題について話をしてくれた。コンゴでは医学部卒業までに卒業論文の提出が必須とのことで、その時におこなった未成年妊婦の調査についても少し話をしてくれた。現代社会で常識となっている母子保健や性感染対策はコンゴでは実施されているものの、それによる行動変容は起こっていない。基本的な教育を受ける機会も少ない。また、成人もこの10年間はモブツ政権以降の混乱のためもあり、教育を受けていない人が多く、これがさまざまな健康問題の根底にある。大学院二年目のNgatuさんによると彼の子供のころはコンゴはアフリカ随一の経済発展をしていたし、社会も安定していたとのこと。私が訪ねたルブンバシ市には確かにその面影があるかもしれないし、キンシャサの中心部は確かにきれいな地域もある。現在は、富の非常な偏在があり、偏在化した富を社会全体に還元する事業も行われている様子がない。
コンゴにおける結核の罹患者数は100,000あたり300人以上でこれは我が国(20.6)の10倍以上。また、HIVの感染者数が多いため、結核患者の19%以上でHIVとの重感染があるという。また、次回のサッカーワールドカップの開催地南アフリカでのHIV結核の重感染率が20%を超えていることが示され、アフリカにおける経済発展の著しい南アフリカでどうしてなのかという質問が参加者から出た。富の偏在の程度は他国と比べるとまだましなのかもしれないけれど、HIV結核との両方のリスクを負っているのはやはり貧困にあえぐ人々なのか。また、周辺のアフリカ諸国からより政情が安定している南アフリカに流れてくる人が多いことも説明された。
このあと、弘田講師による公衆衛生講座があり、今回は保健統計について。罹患率、有病率、粗死亡率、乳児死亡率、合計特殊出生率などについての説明があった。
さらに、CELLの抄読会。今回は第二章。水の重要性、酵素と基質との出会い、反応におけるエネルギーの役割などについてポイントの説明があった。これを毎回続けていくと相当頭が良くなりそうだ。