震災から1週間

震災直後から阪神のことを思い出したのもあるけれど、圧倒的な悲惨な映像の連続で、思い気持が漂っている。私たちの医師仲間も東北に被災しつつも限られた中で医療活動を行っているとのこと。高知大の学生・教員も少し手伝って、岡山の開業医の先生の発案でUptodateの被ばく医療部分を翻訳した。ご参考になればと思う。
昨年後半から、Facebookを使っているのだが、世界中から日本を心配するメッセージとともに、日本人は特異なメンタリティーを持っていて、この状況で整然としているのは素晴らしい、という称賛の声も高い。畏怖されても尊敬されない日本人などという人もいたけれど、日本人は尊敬されている。国連が「今まで援助大国だった日本を、国連が全面的に支援する」とメッセージを発したとのこと、実に感慨深い。国としてもそうだけれど、いろいろなレベルで国際貢献をしている。その精誠がしっかりと伝わっている。
私の大学の部屋やうちでも、暖房を切って、被災者の状況を少しでも、本当に少しだが、感じようとしている。着るものが一枚増えた。
急に極寒となり、現地の被災者にはつらい状況だろうけれど、原子力発電所の冷却という点では、神風のような気がする。被災者が堪え切れる期間程度だけ冷やして、また暖かい春の風を送ってくれることと信じる。なお、登山医学会から、被災地での低体温対策がブログで紹介されている。http://jsmmed-tozanigaku.sblo.jp/

日本国際保健医療学会西日本地方会

昨日、佐賀大学の新地浩一教授が主催して行われた国際保健医療学会の地方会に参加してきた。前日の夜、会合があり、今日も朝から当直だったので、朝一で出かけ、終電で帰宅。かなりの強行軍だったが、久しぶりに載った新幹線が岡山から博多まで1時間半程度で、結構速いことが分かった。あと一歩進めば故郷の長崎だったが、そこまでは余裕なし。初めて訪れた佐賀はちょっと新鮮。特急かもめの車窓からは田園風景で、高知や福井と変わらないなと思っていると、タクシーに連れられてついた佐賀大学医学部に至る道が店やマンションが所せましと立ち並び、赤レンガの佐賀大学を中心に学園都市を形成している。聞くと、ここが鍋島藩の発祥の地。葉隠れの本拠地だ。
二年ぶりの参加だったが、私の医師としてのルーツがこの国際保健にある。大塚病院で研修していたころ、母子センターにおられた中村安秀先生のところにお話しを伺いに行ったことがあったが、その先生が基調講演。その後、学生部が企画したシンポジウムがUNICEFFの平林国彦さん、フォトジャーナリストの久保田弘信さん、栄養研の三好美紀さんと初めてお会いしたが少しずつご縁があった。ジャーナリズムの力ということが話題に上ったが、一枚の絵が真実を伝えることがあるし、ジャーナリズムが自分で創作したストーリーに合ったものしか見ようとしていない現実もあるという。私も高校生の頃、ソマリアの飢餓で苦しむ子どもの写真を新聞で見たことは、国際保健がその後、私の頭から消えない理由の一つ。教授になって高知大学に赴任したその月に、アフリカの医師が是非あなたのところで学びたいと訪ねて来てくれたのも、何か運命づけられているように感じる。しかも、その写真を見る前に、私はシュバイツァーの伝記を読み、こういう生き方がしたいと思っていたのだから。
そのご縁のある学会、来年は3月3日高知大学で開催する予定となった。

J. Hou et al. Suboptimal Selenium Supply-A Continuing Problem in Keshan Disease Areas in Heilongjiang Province. Biol Trace Elem Res 21 Jan 2011

Keshan Diseaseの頻度減少がSeの対象地域での増加と関係しているのかを検討。534例の毛髪、446の食事サンプル、180の土壌サンプルを収集して検討。好発地域の毛髪、食事(トウモロコシ)のSe濃度は他郡の住民の値とくらべ有意に低かった。Keshan Disease好発地域では、トウモロコシ、小麦を好むものが多かった。遅延型のKeshan Diseaseの発見率はトウモロコシのSeレベルと逆相関していた。(Muzembo Basilua Andre)

エコチル調査高知で始動

全国エコチル調査が今日から全国15か所でリクルート開始です。高知でも、高知市、南国市、四万十市梼原町での妊婦さんを対象に今日から参加呼びかけを始めました。このエコチル調査は環境因子と子どもの健康問題がどのように関連しているのかを主な目的として出生コホート調査という追跡調査をすることで調べていこうとしています。
高知では3年間で5000人、全国では合計10万人の妊婦さんにご参加いただく予定です。未来の子どもたちのために、是非みなさんご参加ください。詳しくは、高知ユニットセンターのホームページをご覧ください。

岡山大学医学部公衆衛生学教室同門会

2年ぶりに同門会に参加できた。着いてみると、驚いたことに同級生の宮武伸行香川大学准教授が特別講演の最中。高校生のころ、同じクラスだった彼が自然気胸で入院したときに、私がノートを持っていってやったのに、期末テストで彼の方が上だった話や、大学の入学が私のほうが早かったのに、同時に卒業した話など、いろいろと暴露をして聴衆の喝采を受けていた。彼は腎臓内科の出身で健康増進の仕事に携わってきたことから、衛生公衆衛生に首を突っ込んできた。この分野に入ってきたのは、私が先だが、再び同時に卒業ということになりそうだ。
さて、久しぶりに恩師の緒方正名名誉教授、武田和久名誉教授、池田敏教授にお会いして、昔を思い出した。いつになっても、師というのはありがたいもので、様々にアドバイスを下さりながら、応援をしてくださる。こういう会は本当にいい。

附属高松小同窓会

4年ぶりに高松で同窓会があり、参加してきた。昔は無かった埠頭の上にあるミケイラというレストランで、高知から車を飛ばしていったので、少し遅れて到着。残っていた席は、3年生のころから、連続4年間大変お世話になった恩師山田功先生の横で、嬉しさと恐縮とで一杯だった。ちなみに、同席したのは、中北君、田岡君というよく遊んだ仲間、よく隣の席になっていた梅木さん、多羽本さん、違うクラスなのにおそらく山田先生のファンでその席についてしまって、知らない話ばっかりで自分が忘れてしまったのかと悩んでいた井上さんなど。片岡くんは司会で奮闘していた。いじめっ子の知られざる一面を山田先生から聞くと、子供たちの知らないところで見守ってくださっていた先生がいたんだなということを改めて気づいた。みんないい顔してたな。小さな頃のイメージを知っている人たちが、みんな大人になってそれぞれの人生を花咲かせているのを見ると不思議な気持ちになった。