中皮腫細胞のp21抑制が抗がん剤の作用を増強


Enhanced Antitumor Therapy by Inhibition of p21waf1 in Human Malignant Mesothelioma
Lazzarini R et al. Clin Cancer Res 2008;14:5099-5107.
Cell cycle regulatorであるp21に注目して、これを阻害することでdoxorubicin, etoposide, CPT11などの抗がん剤の効きをよく出来るという論文。p21WAF1/CIP1遺伝子はp53によって発現が増加し、p53依存の細胞の老化senescenceに関係が深い。p21が働いてcell cycleがG2/Mで止められるとp53による遺伝子の修復が起こる。これが抗がん剤に曝されているがん細胞にとっては、抗がん剤への耐性獲得につながる。今回の実験はp21を止めることで、senescenceを起させず耐性獲得の隙を与えないために抗がん剤の効きがよくなるということらしい。人間の中皮腫のcell line H28とH2052とを使ってshort hairpin RNAをこれらの細胞株にtransfectionしている。RNA interference (siRNA)-based approachによって中皮腫に対してのadjuvant therapyになりうるとのこと。cell lineをつかったin vitroの実験に加え、s.c., i.p.で中皮腫細胞を移植しての実験でも同様の効果が示されている。