統計手法

今日は大学院生のNgatuさんがInternational Congress of Occupational Healthに出題すべくいま分析している読影実験の結果について、実地形式でやってみました。私たちの教室では従来SPSSを使っていましたが、私が来てからはLSHTMで使っていたStataを皆さんにお勧めしています。interactiveに分析が進められること、do fileを使うことで、やり方の決まった分析を一気に進めることができるなどの利点が大きいと思うからです。SPSSを使う際にも、paste機能を使って、コマンドをsyntaxに書き出して分析をすることをお勧めしています。
さて、今日の分析はじん肺の胸部エックス線写真について読影者が講習の前後で結果が読影結果が改善したかどうかの検討をしています。一つにはROC分析をしてarea under curveを比較するという方法。もう一つは感度、特異度、正確度などの指標を前後で比較するという方法を使いました。同じ人に関する二回の読影結果なのでMcNemar's test を使うのですが、このmatched pairの考え方が中々分かりにくかったようです。通常の四分表だと例えば300例と300例の症例対照研究だと600人を四分表に分けますが、matched pairだと300のpairについて症例と対照とでの頻度を比較して四分表をつくります。300人の二回の読影実験だとまさに300pairの読影結果になるわけです。わかります?説明も悪いかもしれませんが。
この検定は、放射線医学などの診断学で二つの方法を用いるために非常によく使われます。2群だとMcNemar、3群だとCochran's Q testが使われます。
ただし、Ngatuさんの検定の場合、読影者が25人います。その影響を考慮するためにはどうしたらいいか、という検討が本当は必要ですね。

そう。明日からタイ出張です。例によってAIR Pneumoです。ILOも大分乗り気になってきました。下手すると、われわれが地道にやってきたことを、乗っ取られるぐらいの勢いで関心を持ってくれています。ある面よいと考えるべきでしょう。正式ルートに乗れるわけですから。