教室セミナー初回

昨日から新しい年度の環境医学教室セミナーが開始した。新任の助教である栄徳勝光先生と大学院生Mzembo Basiluwa Andre先生が今回新しいメンバーとして加わり、現在、留学生ビザ取得のためにタイで準備中のNarongpon Dumavibhat先生を加えると3名が新たに加わり、常時7人の体制となった。楠瀬さんも派遣から非常勤に立場が変わった。
さて、今日からは公衆衛生の基本的な教科書「シンプル衛生公衆衛生学」の通読とMolecular Biology of the Cellの通読をセミナーに取り入れ、教室員や大学院生のプレゼンについての討論に色を添える。栄徳先生やTAのNgatuさんにも大学の講義や他大学の非常勤をお願いしたいので、このような準備が必要だ。面白いことに日本の公衆衛生を英語で紹介した本はあまりない。Public Healthの有名な教科書がOxford University Pressから出ているが、ここに多田羅浩三大阪大学名誉教授が日本の保健政策について書いている。もちろん総説として日本の保健医療を様々に扱った論文はあるので、それらをピックアップすればよいのだが、日本の保健政策は実にユニークだ。また、疾病構造もかなり違うので米国や英国のPublic Healthの教科書と比べながら読み進めると面白い発見がある。
日本に他国から留学してきて、何を学んで帰ってもらうのか。高度な技術を習得してもらって、英語で論文を書いて終わりというのであれば、米国に行った方がよりオーセンティックな英語をしゃべることが出来るようになるだろう。米国ではなく、英国ではなく、なぜ日本か?というテーゼに明確な解答を与えることが出来れば、日本はもっと魅力ある留学先となるだろう。世界共通語としての英語が利用できるというのは必須条件ではあるが、それだけでは日本に学ぶ利点を最大に発揮しているとはいえないし、日本を選ぶことで不利になる面もある。DRコンゴでは「われわれはベルギー、フランスに学び、共同研究してきたが、欧州にはどうしても植民地という感情がぬぐえない。東洋人にはそれを感じない。これからの留学先、共同研究相手は東洋人だ。」という。「ゲイシャってなに?ニンジャは?ハラキリは?カミカゼってなぜ?」と質問が途切れない。それほどに彼らは日本に対して興味と関心を持っている。興味と関心の対象として日本を注目している。