ICOH国際労働衛生学会

現在南アフリカケープタウンで労働衛生に関する国際学会に参加中です。この学会は3年に一度、あるのですが、前回はイタリアのミラノで労働衛生の父ラマツィーニにちなんで行なわれました。今回は南アフリカという現在もアスベストを生産し続けており、そのほかにもダイアモンドや金などの鉱山の多い労働衛生の症例の宝庫のようなこの国で行なわれています。先週たずねてきたRDCに比べると、これは別世界のようで、西欧の都市にいるのと変わりありませんが、アフリカであってアフリカでないようなところです。
今日は、初日(正式には昨日もプログラム上は少しあったので、二日目ですが)なので、ゆっくりしていようと思ったのですが、7時過ぎには学会場に来てしまい、登録した後、うろうろとしていたら、いろいろな人に会って結局よるの7時まで学会場から帰ることが出来ませんでした。しかも、Ngatuさんのコンゴ人の友人宅にその後お邪魔するというおまけ付きで今帰ってきたところです。
フランスでの小規模事業場への予防的介入のために、医師がすべての業務をやるのは不可能だから人間工学の専門家を使って一次予防をやっているというのは、使えそうなアイディアだと思いました。チリやイスラエルの医師が異口同音に産業医学の専門家が国に90人とか70人とかしかいないと嘆きます。わが国でも医師会認定産業医は数万人いますが、日本産業衛生学会専門医は260人程度です。今回は、あまり覗きに行かない心血管系疾患に関わる産業医学も知り合い、といっても前回のこの学会で始めてあった韓国の女医さんですが、この方が発表すると言うので聞きに言ってみました。韓国のタイヤ会社での心血管疾患による死亡が7人続きKOSHAという韓国の安全衛生の国立機関が調査を行なった結果を発表していましたが、心毒性のある化学物質の使用の有無も調査してあり、これなら労働衛生をやっている人にもなるほどと思えるような内容でした。ただのメタボ対策ならばあまり食指が動かないところです。
けい肺と結核の合併についてのセッションも古くて新しい内容ですが、いろいろと現在の研究にも関連がありそうな内容が入っていました。初日の報告はこれで終わりです。ケープタウンの夜景、写真にとって置けばよかったですが、きれいでした。