四国公衆衛生学会

今、松山にいる。ホテルには夏目漱石の「坊ちゃん」がおいてあって、さしずめ、高知の坂本龍馬のように四国松山の宣伝をしている。一緒においてある松山百点も銀座の銀座百点をそのまま踏襲した作りでおしゃれでいい雰囲気だ。ちょっと借り物的な匂いはするが。高知にも高知百点なんてのがあるんだろうか。
さて、地域のつながりでの公衆衛生学会というのが全国各所にあり、現場の公衆衛生医師(保健所の医師のこと)や保健師、他職種の保健所関係者、大学の公衆衛生担当者などの交流・勉強の場になっている。福井にいたときも北陸公衆衛生学会というものがあり、たまに顔を出していたが、保健計画やその他の事業でかかわりのあった保健師さんたちが頑張って発表をしているのを見るのはなかなかどきどきするもので、心から応援したものだ。健康日本21計画の策定をといっていた頃から地方の衛生行政には計画立案能力が求められてきたが、十分な訓練の機会や人材の準備もしないまま地方に要求したため全国各地に金太郎飴的な計画ができることになった。コンサルタント会社に丸投げして計画を立案してもらうということもはやり、全国の市町村にまでもとめためコンサルタント会社は経験の蓄積が出来たことだろう。
しかし、公衆衛生という内容に通じてコンサルタントできる会社というのはそうはないはず。コンサルタント会社に委託するぐらいの予算を提示して大学に依頼してきたという話はあまり聞かない。そういう営業をしてまわってもよかったのかもしれないが。まあ、大学のゆったりした仕事の進め方では行政のかっちりした時間の流れには会わなかったのかもしれない。
さて、それほど専門家が集まっているにもかかわらず、行政との交流は中々難しいが、大学としては地域に貢献できる人材をプールし輩出できるかが鍵だろう。その点、高知はお隣の公衆衛生学教室の出身者が県機関や市役所などに多数いて、様々な形で貢献している。現場と学問探求の場との人材交流によって、現実の問題の大きさを超越した視点からことの本質を見抜いて新しい施策を立案し実行できる人材も育つのではないか。ただ、そういうことは現場の人にはなかなか聞こえないんだろうな。産業医をやっている先の保健師さんに「修士で勉強してみない?」と誘いを掛けているのだが、「無理です!」と即答されてしまう。勉強というのは敷居が高いみたいだ。