求人増!産業医

最近、いろいろな所から産業医、特に専属産業医の求人が来ている。産業医の世代交代が起こりつつあること、企業が安全配慮義務などの観点で優秀な産業医の確保に力を入れつつあることなどが背景にあるようだが、あいにく医師の医局員が私だけしかいないので手が回らない。所属医局員や大学院生がいさえすれば引く手あまたなのだ。
高知大学環境医学教室のHPにも書いてあるように、産業医学レジデントコースを作るつもりで準備をしている。今年はなんと6年生の臨床実習であるクリニカルクラークシップで環境医学を選択する学生がいた。これは本学始まって以来の事だ。欧米でも、欧米の教育システムを取り入れている東南アジア諸国でも産業医学レジデントコースが存在し、選択する研修医の数はそんなに多くはないが、国家としては必要な分野だという認識がある。勿論、地域医療を支える医師全体が不足している日本で環境医学だけの充足を目指すわけにはいかない。私は地域保健・産業保健といった予防医学に従事する医師はプライマリケア研修でも高い到達度を目指すべきだと考えており、予防医学のレジデントコースを総合診療や内科など臨床科とタイアップして進めることはできないかと模索しているところだ。
とんでもなく頭のいい人は、研究オンリーの基礎医学に進むべきなのだろうが、社会医学系の予防医学には、社会との接点を失いたくない実践家が集まることが多い。彼らは、世界中で医師としての自分を必要としてくれるところなら何処にでも行きたいとか、医療のシステムを変えたいとか、医療保健サービスが行き届いていない人たちにアプローチしたいとか、病院に来る人たちを対象にするんじゃなくて未病ともいうべき前病状態の地域に住んでる人たちにアプローチすべきだとか、24時間の3分の2近くを過ごす職場での健康問題の解決こそが人々を健康にするだとかの熱い思いを抱いて集まってくる。彼らには社会に対しての志向性が備わっている。また、文系の素養のある人たちも集まってくる。しかも、幸いなことに全く研究だけがしたいという人間も受け入れるだけの包容力がわが環境医学教室には備わっている。
追伸:リサーチコースの星野君の友人の米国コロンビア大学計量経済学を使った教育学の研究を行っている大学院生がのエリさんが教室来訪。Ngatuさんと平和村プロジェクトについて熱く語りあっていたとのこと。いろいろな人がやってきてくれると新しい可能性が広がるようで楽しい。