質向上研究とインフォームドコンセント

NIJMの本日版に掲載されたのは2006年12月掲載のICUでのカテーテル起因の感染症を減らす介入研究に関するコメンタリー。Pronovostらがミシガンの103病院を対象にICUでのカテーテル起因感染症の頻度の変化をエビデンスに基づくカテーテル留置法(手洗い、ガウン着用、穿刺部位の消毒、ソケイ部をできるだけ回避、毎朝の回診でカテーテル抜去の可否を検討)を教育し定着させることによってもたらすことができるかを検討。18カ月の追跡で有意に減少した。
この論文が問題になったのは、内容と言うよりはこれが「人間を対象とした研究」に当たるかどうかということ。論文中にIRBによって計画は承認されたが、IRBでの検討自体が不要と判断されたためインフォームドコンセントをとらなかった。と書かれていることが、読者によって問題とされOHRP(The Office for Human Research Protections)によって改善の要求が来たとのこと。これについての議論が盛り上がり、New York Timesでも記事が載るほどのようだが、今回のコメンタリー2編では、1)IRBで議論し、ICは省略してよいと判断すべきだった。2)病院の業務の質向上を検討しているのだから、人間を対象とした研究ではそもそもないのでICは不要との議論だった。危険な介入を予防するためにできた制度が既にエビデンスのある安全な介入を普及する研究を妨げようとしていることが問題との主張がされている。
Perspective
Quality-Improvement Research and Informed Consent
F.G. Miller and E.J. Emanuel

Harming through Protection?
M.A. Baily