ディーゼルエンジン作業者での重金属の状況と酸化ストレス

Heavy metal status and oxidative stress in diesel engine tuning workers of Central Indian Population
Devi SS, Biswas AR, Biswas RA, Vinayagamoorthy N, Krishnamurthi K, Shinde VM, Hengstler JG, Hermes M, Chakrabart T. J Occup Environ Med 2007;49:1228-1234.

概要：Diesel Engine Tuning Workersでの重金属の状況と酸化ストレスについて曝露群とコントロールでの比較検討を行った。
目的：InPやInAsなどの動物実験の報告はあるが、ITOはその消費量が多いにも関わらず（日本のインジウム消費量の（83%）、動物実験の報告がない。そのため、ITOの毒性を調べるべく、本実験を行った。InPは比較対照として用いた。InPの発がん性は認められており、IARCでは2A（ヒトに対する発癌性がおそらくある　他の2Aの物質の例：ベンゾピレン）とされている。
対象と方法：
100名のDiesel Engine Tuning Workersについて曝露期間（<10yrs, 10-20yrs, >20yrs）、年齢層（20-35yr, 36-45yr, 46-58yr）でのblood, urineでのheavy metal status, 周辺に住む50名の対照群とのoxidative stress (serum GST, MDA, serum GSH, Catalase)
曝露群と対照群はほぼ同等の分布をしめした（Table 1）。
Heavy metals（Pb, Cd, Ni）についてはICP-MSで測定した（Table 2）。
結果：
１）曝露群におけるHeavy metalの状況（Table 3, 4参照）
曝露の期間や年齢層の間でPb, Cd, Niの血中および尿中濃度に有意差は検出されなかった。
対照群とITO群の間では有意差はなかった。
２）Oxidative stress (serum GST, lipid peroxidation as endogenous MDA, serum reduced GSH, catalase)
Serum GSH以外は曝露群の方が有意に高かった（Table 6）。
３）重金属と酸化ストレスの相関
Heavy metal (Pb, Cd, Ni) vs. oxidative stress (GST, MDA, GSH, catalase): not significant
GST, MDA, GSH vs. age: not significant (Fig 1)
考察・まとめ：
Diesel Engine Tuning Workersでの重金属への曝露はoxidative stressを引き起こすが、heavy metalの生体内濃度とは相関しなかった。