統計手法

統計というと高校生の時に確立・統計というのが数学の中にあったけれど、算数が苦手で困っていた小学生が、大学の先生になって統計学も(!)博士課程の学生に教えているというのが驚きだ。このことを小学校の先生が知ったら、きっと感涙にむせび泣いてくれるだろう。私はこの大学に来てまだ日が浅いので(実は福井でもそうだったのだが)、この統計手法の質問も学外から来ることのほうが多い。 
 衛生学、公衆衛生学というと医学部の中では統計の相談と考える人が多いようで、確かに自分も大学院生の頃、自腹でSPSSを買って大いに勉強したものだ。大学院生のアルバイトの薄給ではちょっと痛かったが、そのせいで身についたのかもしれない。その頃から必要に迫られて統計ソフトを駆使しているので、他の人より詳しいのは当たり前だろうが、衛生学の研究者がすべて統計学者であるわけもないし、その必要もない。臨床医が必要に迫られて臨床疫学を学び、統計学的手法を用いて論文をまとめたり、解釈したりするように、人間の集団や実験結果のまとめや解釈のために統計学的手法がひつようなのだ。
 よく使われる統計ソフトを列挙すると、SASSPSS、Statview、Statflexなどだろうが、わたしは最近Stataに凝っている。これは使ってみたところ、SASぐらい強力でしかも買取型で安い。ユーザーがbiostatistitianが多いようで、できない解析があれば、adoファイルを作って公開してくれるのでさらに強力になっていく。わたしはLSHTMのマスターコース(仕事との両立は難しく修了していないが)で使って以来、使い勝手のよさが気に入り使っている。今は大分GUIが充実してきたが、基本的には会話型なのでコマンドを打ち込んでやらないと計算してくれない。実はコマンド型のほうが、データが大量にあって大量の解析をしないといけないときなどにはやり易い。
 統計学どまりだと、統計学的に有意だということが即ち因果関係があるかのような誤解を生じることがある。年始の番組だったか、爆笑問題の大学教員へのインタビュー番組の特集で、「分子生物学者の福岡伸一氏が因果関係があると思われているものでも、相関というレベルのものがある」という発言があり、耳をダンボにして聞いたが、統計学と疫学的の因果関係の推論とを分けて発言してくれているのかは解かりかねた。