キンシャサ・ルブンバシ訪問

ルブンバシ大学の学長からの招待を受け、コンゴ民主共和国の主要大学であるキンシャサ、ルブンバシ大学を訪問した。ルブンバシは銅鉱山をはじめとして様々な鉱山があり、広島、長崎の原爆の原料となったウラニウムを産出したところでもある。新設の産業医学部門長が是非協力して欲しいということで、じん肺の医学的スクリーニングに関しての、招待講演には2百人ほどの教員、学生が集まり熱心な目で聴いていた。このぐらいの熱心さで聴かれると話す方も嬉しい。面白いことに、同時期に招待された人がもう一人いて、同じような分野のBen Nemeryという大家の一人で、私は名前だけ知っていて挨拶したら、向こうも名前を知っていたらしい。会ったことがあるかい?というので、言いや名前だけでしか存じ上げませんよ。と言うと、ATS Journalに投稿したことがあるだろう?という話になった。その時、rejectしたのは俺だよ、ごめんね。という話だった。その後しばらく話をしたら、いろいろと共通の知人がいることが分かり、世界は狭いと二人で納得した。彼はベルギーの人なので、ベルギー領だったDRCには縁があるらしい。
大使館員のご説明では外務省の海岸安全情報と同様で、危険な国ですよとかなりシビアな話を伺ったが、今回はNgatuさんの創設したLIPSやコンゴ子供基金のスタッフのおかげで交通の面でも助けられた。といっても、タクシーを待つのに1時間かかったり、日本の常識を持ち込める国ではない。初めて訪れるフランス語を話せない人を狙った空港の入国管理のあたりでのたかりのようなこともあるらしく、緊張を緩めることが出来なかった。大使館の医務官の方ともお知り合いになり、現地の医療機関の視察にも付き合っていただいた。最大のキンシャサ大学医学部、ロモメディカル、キンシャサ総合病院、ガリヤマクリニックなどの幾つかの医療機関を訪ねたが、CT設備がまともに稼動しているところは今回視察したところにはなかった。胸部撮影もポータブルの機械を使っているため、低圧撮影しかできない。しかし、あるところにはCRもあるらしい。
両大学の医学部長などが口をそろえて、これが最初で最後ということにならないように、是非、股来てください、と言っていた。この国では医療保険など、医療費をもらえる裏づけがないため、医院の運営も成り立っていない。この国の医療問題に取り組むことは、何処から手をつけていいかわからない面もあるが、ゼロから始められるようで少しわくわくする。なお、現地のLe Potential紙がこの訪問を簡単に取り上げてくれた。