呼吸器学会・肺がん学会地方会続き

2日目で午前中は、画像診断の講演、午後は環境再生保全機構との共催で中皮腫の講演があった。画像の話は、HRCTでの二次小葉の所見について薬剤性肺炎、感染症、特発性間質性肺炎についてのお話をそれぞれ野間恵之先生(天理よろず)、田中信幸先生(山口大)、村田喜代史先生(滋賀医大)がされた。村田先生、伊藤春海先生らが1980年代に提唱された小葉中心陰影の概念が、今は常識化しており、私たち職業性呼吸器病をやっている者も画像に関心を持っている人間はかなりそういう目でやっているので、全体的に理解しやすかった。ランチョンの座長を頼まれていて演者の江口研二先生が11時頃こられると言うことだったので、途中までしか村田先生のお話が聞けなかったのが残念だ。
さて、江口先生のお話は胸部単純写真について、基礎から系統的に肺がん診断のポイントを説明されたが、立て板に水を流すような講演で、そのまま教科書になりそうなお話だった。直後に質問をされる方は無かったので、反響は??と思っていたが、講演のスライドを是非くださいという方が何人もいたようで、特に教育に関心を持っているベテランの先生方に好評だったのではないか。私も研修医当時、がんセンターで放射線科を回った先生から、土屋先生と江口先生が共著で書かれた「胸部エックス線の読影の手引き?」とかいう教科書を勧められて使っていたので(多分今も部屋においていると思う)研修医に戻ったつもりで勉強させていただいた。私も、医師会の産業医講習会などで、じん肺の胸部画像の講習をやったりする機会があるが、いろいろと情報のある胸部単純をあまり重視しない先生が増えているのは残念だと思う。スクリーニングや外来での基本的な検査を十分活用してこその医師の専門性と思うが...。
中皮腫の話は、岸本先生(岡山労災)のお話はよくお聞きするのだが、井内康輝先生(広島大病理)のお話を直接お聞きするのは初めてだったので勉強になった。日本を横断するサンベルト地帯では中皮腫発生が特に多いが、高知でも20例以上の中皮腫がすでに有りとのことで、肺がんと比べると80分の一程度の頻度ではあるが、徐々に増加しているとのことで、私たちが今やっている建設作業者(石綿曝露者)のコホートも継続してやっていくべきテーマだと再確認した。