呼吸器病学会・肺がん学会地方会

今日から呼吸器病学会と肺がん学会の地方会及び支部会が高知市のカルポートで開催されており、今日はその懇親会があった。じん肺関連の厚生労働省科研の班会議で一昨日お会いしたばかりの先生も何人か見えていたし、中四国の呼吸器関連の大物が集まってこられていてお話をすることができたのは勿論よかったが、私としての一番の収穫は高知で呼吸器をやっておられる先生とお話ができたことだ。11月に赴任してから、地域の先生方と研究グループを作ってフィールドスタディをやろうとしているが、これを是非高知県全体に広げたいと思う。わたしがやっているじん肺の画像分類やアスベスト関連疾患の画像やマーカーも含めた疫学というのは呼吸器疾患全体からしたら、あまり大きなものではないが、産業医学という切り口から呼吸器疾患全体に対して参考にしていただけることもいくつかはあると思う。
プログラムを見て非常に興味深く感じたのは研修医セッションなるものがあり、研修医の学会発表が奨励されていることだ。私が研修医の頃も、学会発表は奨励されていたし、2年間のうちに最低一回は講演発表をして来いと指導医に言われて、まとめの準備をしたものだが、研修医セッションなって言うものは無かったように思う。懇親会のテーブルでも大学のスタッフ同士がポリクリでまわってくる学生たちにどう声掛けをしているかなんていう会話があちこちで聞こえ、切実さを共有している集団だと実感。私のところに出入りしている8名プラスαの学生たちも是非みんな環境医学に入ってほしいが、無理強いしても始まらないものなので、人間力の勝負だと思って対峙している。さて、どうなることやら。
臨床研修と大学と言うときに、異口同音に聞こえてくるのは一般病院で研修をした研修医は、どんどん来る患者にどう対応していくかというルーチンワークはできるようになるけれど、一つ一つの疾患を深く理解しているかというとそうではないという。しかし、ついこの間、県内の大規模なセンター的病院の先生からも同じようなお話を聞いた。2年間で一通り見ているのでわかったような気になっているけれど、一つ一つの症例をしっかり考えていないというのだ。患者で溢れる一般病院と一つ一つの症例について、詳細な理解を求められる大学病院との双方を何度か経験していくことで、忙しい中でもいろいろな可能性を考えながら結論を出していく名医になっていけるのだろうか。研修医一年目でついた指導医が「名医は数多くの鑑別診断を挙げられる人だ」と教えてくれたが、その言葉は今の研修医を見つめている先生がたの危惧にも通ずるように思う。