「研修医当直御法度」の寺澤教授(福井大学)来高

今日は家庭医療学講座の阿波谷教授が招聘された寺澤秀一教授の講演会があり、ER型救急医療と総合診療についてのお話を聞く機会がありました。福井でも何度かお聞きしましたが、益々話術に磨きがかかり、ERでのピットフォールとして軽症に見える人の中に500分の1程度の頻度で重大な疾患がまぎれているということを分かりやすく教えていただきました。こういうお話は本来は研修医や医学生だけではなく、すべての医師がときどき初診に帰って聞くべきものかもしれません。

その後、9時から食事会があり、20名以上の医学生、大学教員、他の病院のERの先生などが集まりました。最初はシャイだった高知大の医学部生たちも徐々に寺澤先生の周りに集まり、思い思いの質問をぶつけていたようです。わたしはというと、それはそっちのけで阿波谷教授や医学生の数人といろいろなことについて激論を交わしていました。多少過激な発言をする学生もいましたが、われわれの胆の太さを信頼していろいろと話をしてくれたようです。

環境医学の教員のくせになんで救急の話を聞きに着たのかと思うかもしれませんが、寺澤先生のファンであるということは別にしても、環境医学や産業医学も臨床医学の枠組みで考えればgeneralistとしての医療を行います。医療体制の維持が困難な現状をどう乗り切るかを考えるとこれを支える人材を環境医学や産業医学の分野からも供給し続けることのできる体制を作っていかなくてはいけないのかなと考えているところです。持続可能であるということは非常に重要で、一時期の傾向にのみ目を奪われると百年の大計を見失い0157の集団発生の際と同じように、感染症疫学調査を行える人は20年前はいたけれど今はいないという状況を作りかねません。環境・職場といった健康に関わる要因を考えることを実際に生かし、その知識の地平を進めていくことがわれわれの使命ですが、これを果たしつつ、医療崩壊を立て直す策も編み出して生きたいものだと思います。