謹賀新年 A Happy New Year

新しい年を迎え、自分が思う理想の楼閣を築くための土台を整える年にしたい。年末からしばらく寝込んでいたのをいいことに大佛次郎の「赤穂浪士」上下刊を読破した。この中で大佛次郎はこの復讐劇を松代にまで残る建築物としてこれを同志と共に成し遂げることに意義を見出そうとしたと大石に語らせている。夢や目標といえば漠然としたもののように思えるが、建築物という確固としたもの、設計図があり、石工や大工がいなければ形作れないものに例えることにより、その夢をどのように具体化させるかを苦心したことが伝わってくる。昭和3年に書かれたこの本が80年も経ってなお違和感のない人間描写を伝えてくれるのはその頃の日本と今の日本が似ているからなのか。
 昨夕テレビでやっていたのローマの話も秀逸で見入ってしまったが、国の形を模索した英雄列伝で理想に燃えたカエサルがほぼ手中にした理想郷を元老院と共有できずに斃れたのは無念であったろう。腹の太さと実行力、人望。どれが欠けても事を成すことはできない。また、英雄が一人いたとしても、その真の理解者が無ければ、孤独の道を行かざるを得ないのである。 
 理想を夢見るのは皆同じでも、実現できるかどうかは夢を共有し、共に語らうことのできる友を得て、共に具体的に行動を起こしていくことができるかどうかではないか。高知でそのような友を得られれば夢の実現は堅いと思う。