総合科医

医師不足と私自身の財政難のために二日連続日当直をしています。救急車がひっきりなしにくるような病院でないからできることなんですが、准教授にもなって、こんなに泥臭い社会への貢献の仕方をしている医師というのはまずいないと思います(もしかしたら、わたしの誤解かもしれませんが…)。私は一応内科ですが、簡単な縫合などでしたらやります。全科当直です。これは今の臨床研修制度が始まる以前に、自分で選んだスーパーローテイト研修が役に立っていると思います。小児科も診れば耳鼻科も、眼科も、整形外科も診るわけです。勿論何でもできるわけではなく、これは手に負えないと思えば、県立病院などに転送します。今日も、病院が休みだと知らずに薬をもらいに来たおじさんに、若造の医者だと思われたらしく(この年になればこういうことは喜ぶべきなのかも)、「先生は臨時できたんかい?」とたずねられました。お願いされて来てるんだぞと思いつつ「そうそう、臨時できたんよ」と返しましたが、ちょっと傲慢になっているのかもと少し反省しました。

厚生労働省は総合科医構想を出しているようで、これに対しては賛否両論が渦巻いていますが、大学や総合病院の医師が減ることを覚悟してまで臨床研修制度を導入したのですから、そこで鍛えた若い先生たちを存分に使える構図を描いて欲しいものだと思います。学生時代からプライマリケアのパイのほうが専門医より大きいぞという教育を受けてきたものにとってはいよいよその話が実現しようとしているようだと見えますが、患者あたりの医師数が世界的に見ても少ないことは否めず、英国のNHS崩壊の二の舞にならないような制度を作って欲しいと思います。勿論現時点で英国型を目指したとしても、一般医への要求が高すぎる日本では胸部写真に1ヶ月もかかるような英国類似の形態は取れないでしょうけれど…