タイ出張

AIR Pneumo(Asian Intensive Reader of Pneumoconioses)の会議でタイ出張。これは日下教授の発案で日本産業衛生学会の職業性呼吸器疾患研究会と労働衛生国際協力研究会がタイのタイ職業環境医学会やタイ胸部疾患研究所などと合同で行っている国際プロジェクトだ。じん肺の検診には胸部エックス線写真が有用だが、慣れないとILO分類を使ってコンスタントにじん肺の重症度を分類することは難しい。医師に実際のフィルムを読ませて訓練するコースの教材を先進国から「これでやりなさい」という形で垂れるのではなく、共に開発しようと進めている。今回も200枚ぐらいのじん肺の症例フィルムをトランクに詰めていくのだが、自分の荷物は着替えのシャツぐらいなのに24キロもあった。ILOでは2030年までに職業性のけい肺の新規発生をなくすという目標を立てて、特に途上国に働きかけているが、このAIR Pneumoは途上国の専門家が先進国の専門家と共同でじん肺対策の読影者養成コースを作り上げた例として注目されるだろう。

さて、話は変わるが、日経朝刊の「私の履歴書」欄にニコン相談役の吉田庄一郎氏が疎開時代の話を書いていたが、「いじめがエスカレートしそうになると『もうその辺でやめておけ』と止めに入る義侠心の強いガキ大将がいた」という話があった。義侠心という言葉も最近は殆ど聞かなくなった。吉良の仁吉や幡随院長兵衛を懐かしがる人も少なくなったのか。確かに、自分の小学校の頃にもそういう人がいたなあと、思い出した。