地域保健・地域医療研修

臨床研修制度が変わり、3年が過ぎようとしているが、わが福井大学付属病院は研修医の数が上昇に転じている。今までの研修医が市中病院の研修に抱いていた期待と大学医局に対しての先入観が平衡状態に達して、現実を見つめる冷静な目を持って研修先を選び出したのかなという感じもする。もちろん、研修制度開始以降に受け入れ先の指導医の先生たちが「成人教育とは?」ということから始まる指導医セミナーや現実に直面する指導上の問題を解決する努力の積み重ねがあったことは言うまでもない。
 今日は、環境保健の教室セミナーで臨床研修医を一人お招きして、地域保健・地域医療の研修についての感想を聞く機会があった。というのも彼女が県外のある施設に本学として初めて研修にいったので、その報告を聞きたかったからだ。うちのボスはかなりこの臨床研修の地域保健・地域医療に熱心でプログラムの作成や地域保健・地域医療を中心にした臨床研修指導医セミナーを主催するなど、精力的に動いている。地域の保健所の先生方もかなり熱心に研修プログラムを作成しており、研修医の評判も時間的なゆとりだけでなく、検診、予防接種などの保健活動などの面白いためになる話を聞ける場として上々のようである。中間施設や健康増進施設で研修を受けてきた彼女の感想も、「実際には医療行為は殆ど無かったが、地域保健・地域医療の研修では病院の中では体験できないことをできるだけ多く体験したいと思って、様々な施設に行かせてもらった」ということで、案外研修医のニーズに見合った項目として地域保健・地域医療があるようだと、やや目から鱗の気分だ。
 社会医学実習と比べてどうなのかと聞いてみると、コメディカルの人が医師である自分に、こんなことを現場では悩んでいるんだということを知っておいて欲しいと考えるのか様々な内情が聞けて、学生実習のときにも類似の施設はあるのだろうけれど、学生として実習に行くのとは違った内容が学べたという。なるほどなと納得した。