じん肺の胸部エックス線読影

じん肺の写真は、普通の医師ならば気付いてはいる細かい陰影を一定のルールに従って点数付けをする。そのルールを理解し、ルールに基づいたスケールである標準写真を引っ張り出して、一つ一つの写真に点数付けをするのが面倒なのである。これは慣れてしまえば、結構無意識のうちにできることだが慣れるまでに案外時間がかかる。アメリカではCDCの産業衛生部門のNIOSHが米国で国の予算でサーベイランスをする際に、じん肺写真の読影を依頼するNIOSH B readerという資格があり、全米で300人程度が資格試験に合格してその称号を与えられている。わが国では福井大に2名いるだけだ。
 というのも、米国の資格が日本では何の役にも立たないからで、せいぜいじん肺の胸部写真を読影する研究を行った際に、読影精度が十分だということを述べるのに役立つくらいだ。この資格は4年後とに更新しなくてはならず、有名な先生でも更新試験を受けなければならない。そのあたりがアメリカのpragmatismだなと思う。