タイから帰国

タイの新空港から日記を書き込んだつもりが、最後のスイッチを押していなかったらしい。新空港はタクシン政権崩壊とほぼ同時期に開港したが、バンコクの中心部からは遠いという不評も現地の人からは多いが非常にきれいでハブ空港を目指していることがよく分かる。免税のブランドショップの店ぞろいも成田、関空に負けない。空港のスタッフの数の多さでPassport controlの待ち時間を短くしていることなど、ハブ空港となる条件をかなりクリアしているのではないか?
 タイではじん肺、特にわが国のアスベスト関連疾患についてマヒドン大学シリラジ病院で講演を行ってきた。また、ウエスバージニア大学のParker教授によるじん肺読影講習を手伝ってきた。シリラジ病院はタイの最古の病院で現在の国王の父君が創立者ということもあり、名高く教育水準も高い。ICUも見せてもらったが、Parker教授の突然の登場にもひるまず的確なプレゼンを行っていたのには感心した。マヒドン大学にはもう一つラマティパティーという大学病院がありそれぞれ保守的、進歩的大学病院の典型のようだ。後者は米国から教授を招いたらしく若い医師でも意見を主張するように教育をされているのに対し、前者は東洋的な年長者を立てる姿勢が明確である。タイ北部のChaing Mai大学でも米国からの教授により教育が行われ、一期生はECFMGに全員合格したとのことで、その話を聞きながらわが大学もそういう特色のある教育をすればよいのではとも思った。
 今回はタイ渡航5回目にして始めて感染性腸炎を患った。旅行者下痢症の殆どはEnterotoxigenic E. Coli (ETEC)によるものなので、おそらくそうだろうと思う。始めは辛いものの食べすぎかとも思ったが2,3日たっても癒えず、ついに同行のParker教授にofloxacinをもらって2錠飲んだ。やはり常備薬の携行が必要なようだ。ただ、一般的にタイの衛生状態は極めてよく水道水を飲んでも病気になることはまず無い。海産物などを食べる際に、十分調理しているかなどについては気を配る必要があるが、道端の屋台でも何度か食事をしたが、ここで調子を崩した経験は無い。