メンタルヘルス講習

明日は中央労働災害防止協会メンタルヘルス支援専門家として一般企業のメンタルヘルス講習と管理監督者とのメンタルヘルスを語る会に出席してくる。語る会というのは、結局のところ管理監督者を教育したいために行うのだが、偉い方々は教育しますよと言っても聞いてくれるわけが無いので、「みなさんのメンタルヘルスに対するお考えをご自由にお話ください、承ります。」ということで行くわけだ。
 産業医向けの講習会で、このメンタルヘルスや過重労働対策について話をしたところ、「お前の話はいいこと言ってるが、こんなところで話するより医者の過重労働をどうにかしろ」という趣旨の感想を書かれたことがある。研究者も結構長時間の労働をしていたりするが、これは趣味の世界に近いことが多く、個人の裁量で優先順位や達成までの時間などを変えることができる。それに比べ優先順位や時間配分などを自分ではどうしようもない状況で長時間労働を強いられた場合には、心身の負担は大変なものとなる。
 日本の医療は医師を始めとした医療スタッフの過労により支えられてきたが、いよいよ破綻しそうな状況も垣間見える。救急部門などでは当直制ではなく交代勤務制にすることで24時間いつでも十分な対応ができるようにしている施設もある。スーパーマンの頑張りにかけるか並みの人間を最大限に使って最高の効果を出すかは、分野や取り組む人の考え方によっても違うが、病院は潰れてもいい会社とは違うので、最低ラインの保証を確保することがまず大事なのだろう。
 過重労働の話を一般の人にするときには、経営者が月100時間の時間外労働をするのと従業員が同じだけの時間外労働をするのとでは意味が違うということを説明する。福井県出身のサイバーエージェント社長もべらぼうに働いていたようだし、今もかなりワーカホリックだが、その情熱を共有できる部下もいるかもしれないが、全ての従業員がその基準を満たせるものではない。情熱の湧かない仕事を無理に長い間しかも残業代も払わずに働かせるのは拷問以外の何者でもない。経営者がやるべきことはまず情熱をともに湧きたたせることかもしれない。