教授会の飲み会

この教授会の飲み会は年に二回あるが、あまり日頃話をしない先生とも交流が出来て宜しい。ゲゼルシャフトゲマインシャフトという形で分けると仕事の上での結びつきはゲゼルシャフトということになろうが、そういう社会的な結びつきの中でも、人間としてのお互いを十分に理解し合えないと中々よい仕事を一緒にということは難しい。IT化の流れの中で、人間関係はドライになり浪花節的な係わり合いを望まない若者が多いと聞くが、そういう若者たちの中でも同じことに興味を持っている仲間同士では熱い議論というのがあるんじゃないかと想像する。
テーブルごとに分けられたので、そのテーブルに集まった先生方と勝手に話をしていたのだが、必然どうやって高知に医師を残すかというような話で盛り上がった。それぞれの科で高知の良さを語っているらしい。自分の科にというよりも、高知に残る人を、あるいは初期研修を終えて高知に帰ってくる人をどう増やすかと必死に考えている。私も東京の病院で研修した口だが、若者は都会に惹かれる。人が集まってくる町というのはやはり魅力があるのだろう。だけど、医師というのは「何か仕事の口が」と探していくようなもんじゃない。事実、東京の病院では及びもつかないような研修が、沖縄の病院でされていたりする。東京、埼玉、神奈川、岡山、福井で診療をやったことがある(高知でもこれからやると思う)が、地方でもハイレベルな医療を提供している病院がある。東京にいかなければ出来ない研修なんて実際ない。医学部の5年生、6年生諸君!本当に臨床研修制度の意義を考えて、プライマリケアの出来る医師に成ろうと思うのなら、研修医一人当たりに十分な指導医がつく地方の大学病院が最適だということを悟ってもいい頃じゃないだろうか。
帰りに違うテーブルに分かれていた先生と帰り際に話をして、他のテーブルでも似たような話がでたんだなと分かった。集まっていたみんながそれぞれに地域医療のこれからに対して奮戦しているのがわかる。ここはゲマインシャフトゲゼルシャフトだ。「君子豹変す」という言葉がある。プライマリケア能力をすべての医師にという臨床研修制度の理念は間違ってはいないと思うが、導入の仕方と時期を厚生労働省は間違った。厚生労働省が君子ならば、豹変すべく対策を打つべきだ。