大学院の教育の進め方

教室の環境医学セミナーは主に、大学院生の教育の場であると同時に、教室スタッフの研究の進捗状況の報告と最近の興味深い文献の紹介などを主に行っているが、昨日の教育経済学の発表はいくつかの点で、今後の環境医学セミナーの進め方に示唆があった。
一つは、バイリンガルの発表形式。英語での発表というとする方にも受ける方にも敷居が高く、外国人大学院生がいるので英語で話をしてあげるべきという気持ちとリサーチコースの大学生にも興味を持ってもらおうと思うと日本語の方がよいかという考えとの相反があるが、Belgiumのようなフランス語圏でもトップクラスの研究室では研究室の会話は英語でするようにというお達しを出して英語でのコミュニケーションを重視している。やはり、大学院レベルでは専門分野の内容については英語でも十分に討論できるべきだし、スタッフはそれをガイドしてあげる技量を要求されているだろう。大学全入時代で大学・大学院の選別がされる時代、諸外国からの大学院生を受け入れられない研究室は存在意義がない。東南アジア諸国からも日本への留学希望は大変多く、伝手を頼って依頼してくる者だけではなく、ネットを見て問い合わせをしてくる者も多い。その際に、入試要綱の英語版さえもない大学が多くある。この状況は早急に見直すべきだろう。
もう一つは、大学院レベルの水準を保たないといけない、ということ。リサーチコースの大学生がたくさん集まってきてくれるのは活気があってよいのだが、大学生もいるからということで、一歩踏み込んだ議論をなおざりにしてしまった印象がある。少なくとも大学院で学んでいる人の研究発表に対して大学院レベルの議論が十分なされなかったのは専門性の多少の違いはあるといっても、我々の力不足だったか、配慮不足だったように思う。ハイレベルの議論を分かりやすく行うことをやるべきだったかと反省した。昨日の例で言えば、総論的な話に多くの参加者の関心が向き、発表者の現在進行形の研究内容については、その詳細をほとんど聞き出すことが出来ないままに流されてしまったことに対して、何の質問もでなかったことが残念だ。発表者のエリさん自身も聴衆の殆どが大学生であることを重視しすぎて、一般的な議論に終始してしまったのではなかったかと思う。尤も、参加した大学生にとっては滅多に聞けない話を聞くことが出来て大変な刺激になったようではあるが。
ちょっと、高望みかな。