石綿健康管理手帳の交付要件改正

石綿作業を行っていた者で石綿肺あるいは胸膜プラークがあれば、石綿健康管理手帳が交付され、労災病院など指定医療機関で6ヶ月に一度の健康診断を受けられるという制度があるが、10月1日より交付要件が改正になる。
 変わったのは、以下の(2)(3)が加わったことである。
(1)両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚があること。
(2)下記の作業に1年以上従事していた者。(ただし、初めて石綿の粉じんに曝露した日から10年以上経過していること。)
 ・石綿の製造作業
 ・石綿が使用されている保温材、耐火被覆財等の張付け、補修もしくは除去の作業
 ・石綿の吹付けの作業又は石綿が吹付けられた建築物、工作物等の解体、破砕等の作業
(3)(2)の作業以外の石綿を取り扱う作業に10年以上従事していた者。

この場合、建築現場の現場監督のように曝露の可能性はあるが直接自分では作業しないという場合は(2)(3)を満たさないそうだ。ただし、現場監督でも実際は実務も行っていたという場合は異なる。従来の交付要件が胸部写真等による石綿肺あるいはプラークの証明が必須であったのに対し、今回の改正で一定基準以上の曝露者登録としての石綿健康手帳交付となった点は、評価できる。交付すべき曝露者に対して交付率を十分に上げられるかが今後の課題となろう。