臨床研修指導医セミナー

 先週末は福井市のユアーズホテルで臨床研修指導医セミナーを行った。一昨年から三度タスクフォースを引き受けているが、実際に研修医を指導していないので地域保健の立場や公衆衛生分野から厚生労働省の意見を代弁するような立場に立たされる。昨年から研修医のメンタルヘルスの問題を取り上げてみているが、大きく負担の増えた指導医や医師不足で過重労働が増している医師全体の問題を棚上げしての議論は成り立たない。医療分野において労働衛生に関する研究は十分なされていなかったが、昨今の状況からトピックとなっている。
 研修医に対して厚生労働省が9時5時でと指導したからといって、それがそのまま守られるとは到底思えないが、今までそのような配慮を受けたことのない先輩医師にとってはあまりに手厚すぎる研修制度だという印象を持っているのだろう。数年経過して現状はどうか正確に把握しておく必要がある。
 そういう指導医の負担を減らせそうなのが、ジュニアをシニアが教え、医学生をジュニアが教え、シニアを指導医が指導するという屋根瓦方式。米国ではその通り運用されているし、この間訪問したタイでもその通りだった。効率的に思えるが主治医制度の定着している日本でうまく切り替えることができるか。私が東京の都立病院で研修をしていたころは、指導医は7時ごろには皆帰ってしまい受け持ちの患者が死亡しても、当直の先生に任せていたが、地方でそれが通用するのかが一つの壁だろう。でも、現状を保ち続けることはできそうにない。