石綿関連疾患のHRCT像

僕たちの提唱しているHRCTをつかっての職業・環境性呼吸器病(occupational and environmental respiratory diseases)の分類は方式はILO分類を模したものだが、ここ10-20年のHRCTにかかわる放射線医学的な研究成果を産業医学の重大な問題に適用したものだ。産業医学や公衆衛生は応用という面がつよく、いろいろな分野である程度確立されたものを応用するという面が強い。その整理をしようと、元になったいくつかの研究論文を読み直していたら、実に面白い研究をしていた人たちがいたんだなあと改めて感心した。切除された肺のCTを取り、切片のエックス線写真をとり、病理像と対比するという研究の積み重ねで、現在のHRCTの読影の基礎が確立しているので、病理をスタンダードにしている現在の医学からすれば、肺のHRCTでの読影がかなり、病理を反映するものとして認識されているのも当然のことだろう。
 放射線医学の分野で非常に重要な雑誌であるRadiologyが、そういった所見について正常像の検討から掲載し続けてきていることも興味深かった。